「あれもこれも症候群」

中学校や高校の生徒と接していると、たまにこういう生徒に出会います。

 

こちらが指定したわけでも、学校の先生が指定したわけでもない教材に取り組んでいる、というものです。

 

このような生徒は、難易度が高めの教材を使おうとしていることがかなり多いです。

 

もちろん、学力向上を目指して、プラスアルファの勉強をしていくことは素晴らしいことです。

 

ですが、最も危険なのは、次のようなケースです。

 

指導者「Aくん、難しい教材使ってるね。以前、完璧に理解するようにといった塾のプリントは終わったんだよね?」

Aくん「あー、大体終わりました」

指導者「プリントは何回復習したの?」

Aくん「1回終わらせて、そのあとはどこかにいきました」

指導者「…。もちろん学校のワークとか課題は終わったんだよね?」

Aくん「いや、まだですね。テスト前に答え見てまとめてやります」

 

いかがでしょうか。Aくんの学力は今後、向上するでしょうか。残念ながら、答えはノーと言わざるを得ません。

塾でもらったテキストやプリントは、5回も10回も見直して、隅々まで把握するのが受験におけるセオリーです。

また、高校入試の場合は合否に直結するということもあり、ワークをコツコツこなすことは必須です。ましてや、答えを見ながら写すだけでは、それは頭を使わない「作業」でしかありません。

 

確かに、みんなと同じ教材やワークをするだけでは不安だから、レベルの高い教材も使いたい、という心理は理解できます。

しかし、レベルの高い教材は、その前提となる基礎事項が頭に入っていることを想定して作られています。

したがって、基礎事項の習得をないがしろにしてレベルの高い教材に進むのは、まさに砂上に楼閣を建てようとするものです。

 

しかも、一度、自分の判断で教材を入手してしまうと、誰からも指導を受けられないという不安から、次々に違う参考書や問題集に手を出すという悪循環に陥るケースが多いです。

私はこれを「あれもこれも症候群」と呼んでいます。

 

まずは学校のワークや課題、そして塾などの教材を使って基礎学力を万全にすること、それが最も重要です。